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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)5356号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一 事故と責任

請求原因(一)(三)の事実及び事故により原告が受傷したことは当事者間に争がない。

よつて、被告会社は自動車損害賠償保障法三条、被告鈴木は民法七〇九条により、原告が事故による受傷によつて被つた損害を賠償すべき責任がある。<中略>

三 損害額

① 入院附添費

原告が一七日間入院したことは前記のとおりであり、原告本人尋問の結果によれば、この間その妻が原告に附添つて看護したことが認められる。しかし、原告の受傷、症状は前記のとおりであつて、比較的軽度であり、必ずしも通日の付添看護が必要であつた(この点の特段の立証もない。)とはいえない。そこで、右付添費相当の損害は、後記⑦の休業損害において併せ判断することとする。<中略>

⑦ スナックバー休業による逸

失利益 三万円

<証拠>及び原告本人尋問の結果によれば、事故までの間右スナックバーは、後記のとおり昼間他に就労する原告及び家事育児等の負担のあるその妻のほかウエイトレス一、二名がこれに従事していたこと、事故後においてはウエイトレス全員が昭和四五年一一月一日から同月七日まで出勤していないこと及び概ね七ないし一〇日に一度位休店としていることが認められ、原告の妻が原告入院中附添看護に当つたことは前述のとおりである。これら事実からすれば、原告が入院した一七日間は右スナックバーは休業したものと推認すべきであり、また、事故がなければその間右スナックバーは一五日間開店したものとみるのが相当である。

右スナックバーの収益については、これを明らかにすべき適確な資料に欠けるが、一日の売上げが概ね五〇〇〇円を下らないこと(証人伊藤静夫の証言)、原告の地方税の申告が昭和四四年の営業所得が四八万円、昭和四五年のそれが六八万円(営業収入一七〇万円の五割)とされていること、臨時バーテンダーに日給二五〇〇円が支払われていたこと等を総合すれば、開店一日当り純収益は二〇〇〇円とみるのが相当である。

よつて原告の前記受傷により右スナックバーがその間休業したことによる減収は三万円(二、〇〇〇円、一五日)であつて、これが事故と相当因果関係のある損害である。

なお、右収益額の算定には、原告の妻(原告本人尋問の結果によれば、仕入仕込み等も担当している)の労働分は控除していない。けれども、同女の労働については、前記①のとおり附添看護分も併せてここで論ずるのであるから、右労働分を含めて原告の収益額をみて、これを基礎として逸失利益を算定することは結論において正当である。

⑧ 住井玩具工場欠勤による逸失利益 五四万円

<証拠>及び原告本人尋問の結果によれば、原告は事故前日給三、〇〇〇円で住井玩具工場の工員として日曜等を除き概ね毎日午前九時頃から午後五時頃まで働いていたが、事故による傷害とその治療のため欠勤せざるを得ず、昭和四六年八月までの間、その主張のとおり計二六七日欠勤し、当該日の給与を受けることができなかつたことが認められる。ところで、前記二の症状及び治療経過に照らし、右欠勤日のうち、一八〇日、給与額五四万円に限り事故と相当因果関係にたつというべきである。

あるいは、原告にとつて、右日数を超えて、右就労が困難であつたといえるかもしれない。しかし、原告が昼間工員として、夜間はスナックバーの経営者であるとともにその営業の中心として就業することにもともと相当な困難が存しないわけでもなく、原告にとつて昼夜通じての就労を長期間継続すること自体期待し得ないこととみるべきである。

(高山晨)

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